特定技能外国人の「農業」分野への受入れ
福岡、久留米、佐賀で特定技能・就労・介護・結婚・永住・短期滞在・帰化などのビザ(在留資格)申請手続きをサポートしている申請取次行政書士の神野と申します。
今回は、特定技能外国人の農業分野への受入れについて説明します。
【受入れできる「特定技能外国人」】 |
1. 技能試験と日本語試験に合格している方
2. 技能実習2号を修了している方 ※ ただし18歳以上であり、かつ、健康状態が良好な方が受け入れ可能です。 ※ 現在日本で在留中の方は「在留資格変更許可申請」、現在本国に戻っている方は「在留資格認定証明書交付申請」が必要です。 |
【受入れる外国人材の探し方】 |
農業者の方の中には、受入れる外国人材を一から見つける必要がある方もいらっしゃるでしょう。その場合、以下に挙げるような団体等で、ご希望に沿うような外国人材を探すうえでのご相談ができます。
① 農業分野での技能実習生の受入れ実績のある最寄りの農協等 ② 最寄りのハローワークや民間の職業紹介所 ③ 海外にネットワークを持つ民間団体や現地コーディネーター |
【受入れたい外国人材がすでに決まっている場合】 |
① 自分が現在受入れ中の技能実習2号修了者に、引き続き、特定技能外国人として働いてもらいたい場合は、技能実習2号修了2か月前に、最寄りの地方出入国在留管理局(地方入管)に、在留資格を「特定技能1号」に変更申請(在留資格変更許可申請)してもらいます。申請の結果、変更許可が出れば、外国人材は引き続き新たな在留資格で農業現場で働くことができ、いったん母国に帰国する必要はありません。
② 技能実習2号を修了し、現在本国に帰国している者について、再度特定技能外国人材として働いてもらいたい場合は、外国人材と雇用契約を締結後、最寄りの地方入管に、在留資格認定証明書の交付申請をしてもらいます。 |
【特定技能制度による雇用形態】 |
① 農業者が受入れ機関となり直接雇用する(直接雇用形態)場合
② 派遣事業者が受入れ機関となり、外国人材を派遣してもらう(派遣形態)場合 |
【JAが請負事業主となる雇用形態】 |
JA等が外国人材と雇用契約を交わし、組合員の農家から農作業等の業務を請け負い、外国人材にその業務に従事してもらう形態
※この場合、作業の指揮命令は、個々の農業者が行うことはできず、雇用契約を結んだJA等が行う必要があります。 |
【就労できる期間】 |
① 5年間継続して働くことが可能
② 農閑期等には帰国し、通算で5年間働くことが可能 ③ 在留期間が通算5年を超えなければ、最初に契約を結んだ農業者との雇用期間が終わった後、別の農業者と雇用契約を交わすことも可能 ※ ただし、地方出入国在留管理局で新たに在留資格変更許可を受ける必要があります。 |
【従事できる業務】 |
主として
① 耕種農業全般の作業(栽培管理、農産物の集出荷、選別等) ② 畜産農業全般の作業(飼養監理、畜産物の集出荷、選別等) ※ただし、その業務内容には、栽培管理又は飼養管理の業務が必ず含まれていることが必要です。 ③ また、同じ農業者等の下で作業する日本人が従事している関連業務(製造・加工、運搬、販売、冬場の除雪作業等)にも不随的に従事することができます。 ※ ただし、専ら関連業務だけに従事することはできません。
|
【受入れるための準備】 |
その1. 受入れ機関との「雇用契約」の締結
※ 業務内容、労働時間、賃金などの労働条件について、基準を満たす内容に定める必要があります。 ※ その上で、自らが過去5年以内に労働者を6か月以上雇用した経験があること、又は「農業特定技能協議会」に入会し、協議会に必要な協力を行うことを誓約した文書である「誓約書」作成し、最寄りの地方出入国在留管理局で手続を行う必要があります。 法務省ホームページはこちら http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00201.html その2. 派遣事業者との「労働者派遣契約」の締結(派遣形態の場合) ※ その上で、自らが過去5年以内に労働者を6か月以上雇用した経験があること、又は派遣先責任者講習、その他、これに準ずる講習を受けた者を派遣先責任者に選任していることを誓約した文書である「派遣先事業者誓約書」をあらかじめ派遣事業者に提出しておく必要があります。 その3. 「支援計画」の作成 ※ 外国人材が日本で安心して生活できるよう、主に以下の支援内容について具体的にどのように行うかを定めた「支援計画」を事前に作成する必要があります。 ① 事前ガイダンス 労働条件、業務内容、保証金徴収の有無等について対面・テレビ電話等で説明 ② 出入国する際の送迎 空港や事業所、住居への送迎・同行
③ 住居確保・生活に必要な契約支援 社宅等の提供、銀行口座の開設、携帯電話やライフラインの契約等の補助
④ 生活オリエンテーション 生活のルールやマナー、公共機関の利用方法や連絡先、災害時の対応等の説明
⑤ 公的手続等への同行 住居地の市役所等への社会保障・税関連の手続の同行、書類作成の補助
⑥ 日本語学習の機会の提供 日本語教室等の入学案内、日本語学習教材の情報提供
⑦ 相談・苦情への対応 職場の生活上の相談・苦情について、母国語での対応や必要な助言・指導 ⑧ 日本人との交流促進 地域住民の交流の場や行事の案内、参加の補助
⑨ 転職支援(受入れ側の都合の場合) 転職先探しの補助や情報提供、求職活動時の有給休暇の付与
⑩ 定期面談、行政機関への通報 支援責任者等による3か月に1回以上の面談、問題把握時の各種行政機関への通報
※ 外国人材への支援は、農業者自身、若しくは「登録支援機関」に全部委託することができます。 法務省ホームページはこちら http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00205.html その4. 地方出入国在留管理局(地方入管)への申請 ≪外国人材が日本国内に在留中の場合≫ 在留資格変更許可の申請 ≪外国人材が海外から来日する場合≫ 在留資格認定証明書の交付申請 ※ 具体的な提出書類については、事前に最寄りの地方出入国在留管理局(地方入管)にお問い合わせください。 ※ 地方出入国在留管理局(地方入管)から変更許可や証明書が交付されたら、ビザが発給され、入国。実際の受入れが始まります。
☟ 【就労開始】 |
【受入れ後にやるべきこと】 |
① 農業者の皆様が外国人材の受入れ機関となった場合は、「農業特定技能協議会」に入会していただく必要があります。最初の受入れの場合は、受入れ後4か月以内に農林水産省ホームページの加入申請フォームから申請して下さい。
農林水産省ホームページ http://www.maff.go.jp/j/keiei/foreigner/new.html ※ 特定技能制度の農業分野での適切な運用を図るために設けられた協議会で、以下の活動を通じて外国人材の受入れをより適正かつ円滑なものとすることができます。 ・協議会が依頼する各種アンケートや現地調査への協力 ・外国人材の受入れに役立つ各種最新情報の共有 ・個別の受入れで生じた課題の共有とその解決に向けた構成員間の協議 ※ 申請内容の確認後、「加入通知書」が送付されます。これをもって加入の手続きは完了となります。入会に当たって、入会費等はありません。 ② 外国人材の労務管理 ※ 労働基準法では、農業については労働時間・休憩・休日の規定が適用されません。特定技能外国人についても、日本人労働者と同じですが、優秀な人材を確保していくためにも、外国人材が働きやすい環境を整えるよう努力していただくことが推奨されています。 ③ 各種届出の実施 ・各種雇用契約の変更 ・支援計画の変更 ・支援計画の実施状況(登録支援機関に委託する場合は、登録支援機関が届出を実施) ・不正行為を知った時の届出 ・外国人材の活動状況(報酬の支払い状況、従業員数、各種公的保険に係る適用状況等) など ④ 受入れ後、外国人材が転職を希望した場合 ・ 農業分野の外国人材が、自らの意思で違う農業経営体に転職を希望する場合は、働きながら自ら転職活動を行って転職先を見つけた上で、在留資格の変更許可申請を行う必要があります。 ・転職先が見つからないうちに「転職したいので辞める」と言われた場合、在留中に自分で転職先を見つけた上で、在留資格の変更許可申請を行う必要があります。農業以外の分野で転職を希望する場合は、技能試験の合格が必要となります。 ・受入れ農業経営体が倒産・破産してしまった場合等、外国人材の意思の反して離職を余儀なくされた場合は、受入れ側が外国人材の転職先を探すため、一緒にハローワークに行くなどの各種支援を行う必要があります。 |
初回相談無料
ビザ(在留資格)申請でお困りの方は神野行政書士事務所へお気軽にお問い合わせください。
TEL 0942-65-5126