特定技能所属機関に関する基準等 “雇用契約の内容”
福岡、久留米、佐賀で特定技能・就労・介護・結婚・永住・短期滞在・帰化などのビザ(在留資格)申請手続きをサポートしている申請取次行政書士の神野と申します。
今回は、特定技能所属機関に関する基準(雇用契約の内容の基準)のうち、雇用関係に関する事項に関するものについて解説します。
(1) 従事させる業務に関するもの
【関係規定】
特定技能基準省令第1条 出入国管理及び難民認定法(以下、「法」という。)第2条の5第1項の法務省令で定める基準のうち雇用関係に関する事項に係るものは、労働基準法(昭和22年法律第49号)その他の労働に関する法令の規定に適合していることのほか、次のとおりとする。 一 出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の特定技能の項の下欄に規定する産業上の分野等を定める省令(平成31年法務省令第6号)で定める分野に属する同令で定める相当程度の知識若しくは経験を必要とする技能を要する業務又は当該分野に属する同令で定める熟練した技能を要する業務に外国人を従事させるものであること。 |
〇 1号特定技能外国人については、相当程度の知識若しくは経験を必要とする技能として分野別運用方針及び分野別運用要領で定める水準を満たす技能を要する業務に従事させるものでなければなりません。
〇 2号特定技能外国人については、熟練した技能として分野別運用方針及び分野別運用要領で定める水準を満たす技能を要する業務に従事させるものでなければなりません。
(2) 所定労働時間に関するもの
【関係規定】
特定技能基準省令第1条 出入国管理及び難民認定法(以下、「法」という。)第2条の5第1項の法務省令で定める基準のうち雇用関係に関する事項に係るものは、労働基準法(昭和22年法律第49号)その他の労働に関する法令の規定に適合していることのほか、次のとおりとする。 二 外国人の所定労働時間が、特定技能所属機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること。 |
〇 特定技能外国人の所定労働時間は、特定技能所属機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であることを求めるものです。
(3) 報酬等に関するもの
【関係規定】
特定技能基準省令第1条 出入国管理及び難民認定法(以下、「法」という。)第2条の5第1項の法務省令で定める基準のうち雇用関係に関する事項に係るものは、労働基準法(昭和22年法律第49号)その他の労働に関する法令の規定に適合していることのほか、次のとおりとする。 三 外国人に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること。 四 外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的な取扱いをしていないこと。 |
〇 特定技能外国人の報酬の額が同等の業務に従事する日本人労働者の報酬の額と同等以上であることを求めるものです。
〇 特定技能外国人に対する報酬の額については、外国人であるという理由で不当に低くなるということがあってはなりません。同程度の技能等を有する日本人労働者がいる場合には、当該外国人が任される職務内容やその職務に対する責任の程度が当該日本人労働者と同等であることを説明したうえで、当該日本人労働者に対する報酬の額と同等以上であることを説明する必要があります。なお、これにより、外国人労働者と比較した際に、日本人労働者に不当に安い賃金を支払う結果とならないように留意してください。
〇 同程度の技能等を有する日本人労働者がいない場合については、特定技能外国人に対する報酬の額が日本人労働者に対する報酬の額と同等以上であるということについて、賃金規定がある場合には同規定に照らした個々の企業の報酬体系の観点から、賃金規定がない場合には、例えば、当該外国人が任される職務内容やその職務に対する責任の程度が最も近い職務を担う日本人労働者と比べてどのように異なるかという観点から、説明を行うこととなります。
〇 外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設(社員住宅、診療施設、保養所、体育館など)の利用その他の待遇について、差別的な取扱いをしていないことも求められます。
(4) 一時帰国のための有給休暇取得に関するもの
【関係規定】
特定技能基準省令第1条 出入国管理及び難民認定法(以下、「法」という。)第2条の5第1項の法務省令で定める基準のうち雇用関係に関する事項に係るものは、労働基準法(昭和22年法律第49号)その他の労働に関する法令の規定に適合していることのほか、次のとおりとする。 五 外国人が一時帰国を希望した場合には、必要な有給休暇を取得させるものとしていること。 |
〇 特定技能所属機関は、特定技能外国人から一時帰国の申出があった場合は、事業の適正な運営を妨げる場合等業務上やむを得ない事情がある場合を除き、何らかの有給の休暇を取得することができるよう配慮を求めるものです。例えば、既に労働基準法上の年次有給休暇を全て取得した特定技能外国人から、一時帰国を希望する申出があった場合にも、追加的な有給休暇の取得や無給休暇を取得することができるよう配慮することが望まれます。
(5) 派遣先に関するもの
【関係規定】
特定技能基準省令第1条 出入国管理及び難民認定法(以下、「法」という。)第2条の5第1項の法務省令で定める基準のうち雇用関係に関する事項に係るものは、労働基準法(昭和22年法律第49号)その他の労働に関する法令の規定に適合していることのほか、次のとおりとする。 六 外国人を労働者派遣等(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働法派遣法」という。)第2条第1号に規定する労働者派遣及び船員職業安定法(昭和23年法律第130号)第6条第11項に規定する船員派遣を言う。以下同じ。)の対象とする場合にあっては、当該外国人が労働者派遣等をされることとなる本邦の公私の機関の氏名又名称及び住所並びにその派遣の期間が定められていること。 |
〇 特定技能外国人を労働者派遣法又は船員職業安定法に基づき派遣労働者として雇用する場合は、当該外国人の派遣先及び派遣の期間が定められていることを求めるものです。
(6) 分野に特有の事情に鑑みて定められた基準に関するもの
【関係規定】
特定技能基準省令第1条 出入国管理及び難民認定法(以下、「法」という。)第2条の5第1項の法務省令で定める基準のうち雇用関係に関する事項に係るものは、労働基準法(昭和22年法律第49号)その他の労働に関する法令の規定に適合していることのほか、次のとおりとする。 七 前各号に掲げるもののほか、法務大臣が告示で定める特定の産業上の分野に係るものにあっては、当該産業上の分野を所管する関係行政機関の長が、法務大臣と協議の上、当該産業上の分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準に適合すること。 |
〇 特定産業分野ごとの特有の事情に鑑みて個別に定める基準に適合していることを求めるものです。
参考資料:法務省入国管理局「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(平成31年3月)
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次回は、外国人の適正な在留に資するために必要な事項に関するものについて解説します。